SIGN CHINA 2026 上海現地レポート|中国のデジタルサイネージは今どうなっている?
2026年9月、上海で開催された「SIGN CHINA 2026」を現地で視察しました。
デジタルサイネージやLEDビジョンに関わる仕事をしていると、中国の展示会にはどのような製品が並んでいるのか、現在の中国市場ではどこまで技術が進んでいるのか、気になるところです。
今回は展示会場だけでなく、上海・南京路周辺の店舗や商業施設も実際に歩いて、街中で使われているサイネージも確認しました。
展示会では、トレーラーにLEDビジョンを搭載し、ボタン操作だけで展開できる製品や、フライトケースからLEDビジョンを展開できる製品、薄型・軽量・折り畳み可能なLEDなど、設置や運搬そのものを変えようとする製品が特に印象に残りました。
一方で、実際に会場や街を見てみると、「中国のサイネージは日本よりはるかに先を進んでいる」という単純な状況でもありませんでした。
今回の記事では、SIGN CHINA 2026の展示内容と、上海の街中で実際に見たサイネージを通して、中国のデジタルサイネージの現在をPANELIZEの視点から紹介します。
- SIGN CHINA 2026で実際に見たLEDビジョン・デジタルサイネージを紹介
- トレーラーから展開するLEDやフライトケース一体型LEDが特に印象的だった
- 薄型・軽量・折り畳み可能なLEDなど、設置や運搬を意識した製品も目立った
- 上海・南京路の店舗では、シースルーLEDやバータイプLEDなど多様な使い方を確認
- 中国の製品すべてが日本より先進的というわけではなく、既に日本で流通しているものと近い製品も多かった
- 今回特に参考になったのは「製品そのもの」だけでなく「設置・運用・空間への組み込み方」だった
SIGN CHINA 2026の会場に入って最初に感じたこと
SIGN CHINA 2026の会場では、LEDビジョンを中心にさまざまなサイネージ関連製品が展示されていました。
中国の展示会ということで、今回は「日本ではまだ見たことがないような製品が大量に並んでいるのではないか」と考えていました。
実際には、確かに新しい発想の製品はありましたが、展示されているすべてが極端に先進的というわけではありません。
LEDビジョン、液晶ディスプレイ、コントローラー、サイネージ関連機器など、すでに日本でも流通している製品とかなり近いものも多く見られました。
その意味では、今回の展示会で感じたのは「中国のサイネージが日本とはまったく別の世界になっている」ということではありませんでした。
むしろ興味深かったのは、同じようなLEDビジョンでも、運搬・設置・展開・収納まで含めて製品として考えているものがあったことです。
一番印象に残った「トレーラー型LED」
今回、個人的に最も印象に残ったのが、トレーラーにLEDビジョンを搭載した製品です。
LEDビジョンそのものは珍しいものではありません。しかし、この製品はLEDビジョンをトレーラーに組み込み、必要な場所まで移動させたうえで、ボタン操作によって画面を展開できる構造になっていました。
一般的なLEDビジョンでは、設置場所へ機材を搬入し、フレームや架台を組み、LEDモジュールを設置して、配線や調整を行うという工程があります。
それに対して、最初から移動・展開までを製品設計に組み込むことで、現地で必要になる作業を大幅に減らせる可能性があります。

ここで面白いのは、単純に「LEDがすごい」という話ではありません。
LEDビジョンを「表示機器」としてだけではなく、「運搬して、現場で展開して使う設備」として考えている点です。
イベント、スポーツ、展示会、屋外プロモーションなど、常設ではなく移動して使う用途では、こうした設計思想が大きな意味を持ちます。
フライトケースからLEDビジョンが展開する
もう一つ印象的だったのが、フライトケースそのものがLEDビジョンの収納・展開システムになっている製品です。
LEDビジョンでは、搬入時にLEDパネルやフレーム、電源、制御機器などを分けて運ぶことがあります。
そのため、現場では「どう運ぶか」「どう保管するか」「どう組み立てるか」も重要な課題になります。
フライトケースから展開できる構造であれば、運搬と設置を一つのシステムとして考えられます。
もちろん、実際の現場では設置条件や安全対策などの確認が必要ですが、現地での組立作業を減らす方向性としては非常に興味深い製品でした。

薄型・軽量・折り畳み可能なLED
会場では、非常に薄く、軽量で、細かく折り畳めるLEDパネルも展示されていました。
LEDビジョンというと、どうしても「大きな画面を設置する」というイメージがあります。
しかし、薄型・軽量化が進むことで、これまで設置が難しかった場所にもLEDを組み込みやすくなります。
特に今回見た製品では、単純に筐体が薄いだけではなく、折り畳むことで運搬時のサイズを小さくできる点が特徴的でした。
LEDビジョンでは、表示性能だけでなく、搬入・保管・施工まで含めたトータルの扱いやすさが重要です。


3Dサイネージなど、特殊な表示技術も多数
会場では、3Dデジタルサイネージなど、通常の長方形ディスプレイとは異なる表現方法も多く見られました。
こうした技術は、単純に「高解像度の画面を置く」というサイネージとは考え方が異なります。
どの場所から見るのか、どの距離から見るのか、コンテンツをどう制作するのかなど、表示機器とコンテンツを一体で考える必要があります。
今回の展示会では、LEDの性能だけを見るのではなく、「LEDを使って何を表現するのか」という方向へ製品の幅が広がっていることも感じました。
展示会を離れて、上海・南京路の街を歩いてみた
SIGN CHINA 2026を見た後、上海・南京路周辺の店舗や商業施設も実際に歩いてみました。
展示会場ではメーカーが「新しい製品」を見せています。
一方、街中では、実際に店舗や施設がどのようにサイネージを使っているのかを見ることができます。
今回はこの両方を見ることで、「中国ではどんな製品が作られているのか」だけではなく、「実際にどんな使い方をしているのか」まで確認してみました。
店舗の中では、サイネージが商品と一体になっている
上海の店舗を歩いていて印象的だったのは、サイネージが単独の「画面」として置かれているだけではなかったことです。
商品棚、什器、壁面、天井などと組み合わせ、店舗空間の一部としてサイネージを使っているケースが多く見られました。
これは日本でも珍しい使い方ではありませんが、実際の店舗を見ていると、デジタルサイネージを「情報を表示するモニター」としてだけではなく、店舗そのものの演出要素として考えていることが分かります。
シースルーLEDで「商品を隠さず」映像を加える
店舗で特に印象的だったのが、シースルーLEDです。
通常のディスプレイを店舗の前面に置くと、その背後にある商品や空間が隠れてしまいます。
シースルーLEDであれば、映像を表示しながら、その後ろにある商品や店舗空間も見せることができます。
「映像を追加することで商品を隠してしまう」のではなく、「商品を見せたまま映像を加える」という考え方です。
店舗のショーウィンドウやブランドショップなどでは、この違いが大きな意味を持ちます。
四角い画面だけではない。バータイプのLED
南京路周辺の店舗では、一般的な横長・縦長ディスプレイとは違う、細長いバータイプのLEDも見かけました。
天井や空間の形状に合わせて細長いLEDを配置することで、映像を表示しながら空間そのものを演出できます。
特に印象的だったのは、画面を「一枚のモニター」として考えるのではなく、店舗の内装や建築に合わせて形状を変えている点です。
サイネージの設置場所を考えるとき、「既製のディスプレイをどこに置くか」だけではなく、「その空間に合わせてどのような表示面を作るか」という考え方もできます。
大型LEDは街そのもののメディアになる
上海の街中では、大型LEDビジョンも数多く見ることができました。
特に印象的だったのが、建物の形状に合わせて湾曲した大型LEDです。
大型LEDビジョンになると、単なる店舗設備ではなく、建物そのものの外観や街の景観と一体になったメディアになります。

展示会場で見た「曲面LED」などの技術が、実際の街の中でどのように使われているのかを見ることができたのも、今回の現地視察の大きな収穫でした。

展示会と街を見て、意外だったこと
今回、SIGN CHINA 2026と上海の街を実際に見て、少し意外だったことがあります。
それは、「中国のデジタルサイネージは、日本とはまったく違う製品ばかり」という状況ではなかったことです。
LEDビジョン、液晶ディスプレイ、STB、各種コントローラーなど、日本ですでに流通しているものと近い製品も数多くありました。
もちろん、日本ではまだ一般的ではないような製品や、設置方法そのものを変えるような製品もあります。
しかし、今回一つの展示会と上海市内を見た範囲では、中国のサイネージ市場全体が日本から大きく離れた別世界になっている、という印象ではありませんでした。
「最新技術がある」ことと、「日本市場の製品がすぐ置き換わる」ことは別です。
今回特に参考になったのは、製品のスペックだけではなく、運搬・設置・収納・店舗への組み込み方まで含めて考えられた製品でした。
むしろ参考になったのは「サイネージの使い方」
今回の視察でPANELIZEが特に参考になったのは、個々の製品スペックよりも「サイネージをどう使うか」という部分でした。
例えば、トレーラー型LEDは「LEDビジョンを移動させる」という発想です。
フライトケース型LEDは「運搬・収納・展開を一つにする」という発想です。
シースルーLEDは「商品を隠さずに映像を加える」という発想です。
バータイプLEDは「四角いディスプレイを置く」のではなく、「空間に合わせて表示面を作る」という発想です。
こうして見ると、共通しているのは「LEDの性能だけを追求しているわけではない」ということが分かります。
何を表示するのか。
どこに設置するのか。
どう運ぶのか。
どう展開するのか。
その空間でどう見せるのか。
そこまで含めて製品が考えられています。
日本のデジタルサイネージ市場は変わるのか
今回の視察を踏まえて、「中国から新しい製品が大量に入ってきて、日本のデジタルサイネージ市場が一気に変わる」とまでは感じませんでした。
実際、日本ですでに流通しているLEDビジョンやディスプレイと近い製品も多く、既存の製品がすぐに置き換わるような状況には見えませんでした。
一方で、設置や運搬を効率化する製品、店舗空間に合わせて形状を変えるLED、シースルーLEDなど、今後日本でも使い方が広がる可能性を感じる製品はありました。
ただし、今回見たのはあくまで一つの展示会と上海市内の一部です。
そのため、これだけで中国市場全体や今後の日本市場を判断することはできません。
今回の視察から言えるのは、「中国には日本でも参考になる製品や発想がすでに存在している」ということです。
「最新製品」よりも、現場で使える発想を見る
デジタルサイネージの展示会では、どうしても「何インチなのか」「何mmピッチなのか」「どれくらい明るいのか」といったスペックに目が行きます。
もちろん、これらは重要な情報です。
しかし、実際に現場へ導入すると、それだけでは解決できない問題も多くあります。
- どうやって搬入するのか
- どれくらいの時間で設置できるのか
- 撤去や移設はしやすいのか
- 保管するときにどれくらい場所を取るのか
- 店舗や建物の形状に合わせられるのか
- 故障したときにメンテナンスできるのか
今回のSIGN CHINA 2026で見た製品の中には、こうした「現場で実際に困ること」を製品そのものの設計で解決しようとしているものがありました。
これは、PANELIZEとしても非常に参考になる部分です。
SIGN CHINA 2026を見て、PANELIZEが感じた中国サイネージの現在
今回の上海視察を一言でまとめるなら、
中国のサイネージは、思っていたより日本との距離が近い。
ただし、設置・運搬・展開・収納・空間への組み込み方には、日本でも参考になる発想がある。
SIGN CHINA 2026では、トレーラー型LEDやフライトケースから展開するLED、薄型・軽量・折り畳み可能なLEDなど、従来のLEDビジョンとは少し違う方向から現場の課題を解決しようとする製品が印象に残りました。
また、展示会だけでなく上海・南京路の店舗を実際に歩くことで、シースルーLED、バータイプLED、マルチディスプレイ、大型湾曲LEDなど、サイネージが店舗や街の中でどのように使われているのかも確認できました。
今回見た製品が、そのまま日本市場へ入ってくるとは限りません。
それでも、現場の設置方法や運用方法を考えるうえで、参考になる考え方は確実にありました。
まとめ|上海で見えた「中国サイネージ」の現在
SIGN CHINA 2026を実際に訪れてみると、中国のデジタルサイネージは「何もかも日本より進んでいる」というものではありませんでした。
日本ですでに流通している製品と近いものも多く、既存のサイネージ市場がすぐに大きく置き換わるような印象でもありません。
一方で、トレーラー型LED、フライトケース型LED、折り畳み可能なLED、シースルーLED、バータイプLEDなど、設置・運搬・空間への組み込み方を変える製品は非常に興味深いものでした。
今回の視察で改めて感じたのは、デジタルサイネージは「画面のスペック」だけで考えるものではないということです。
どこに設置するのか。
どうやって運ぶのか。
どうやって施工するのか。
どのようにコンテンツを見せるのか。
そして、導入後にどう運用するのか。
そこまで含めて考えることで、サイネージの可能性は広がります。
PANELIZEでも、今回上海で見た製品や考え方を今後のサイネージ提案に活かしながら、「本当に現場で使いやすいサイネージとは何か」を引き続き考えていきます。
- トレーラー型LEDビジョン
- フライトケースから展開するLEDビジョン
- 薄型・軽量・折り畳み可能なLED
- 3Dデジタルサイネージ
- シースルーLED
- バータイプLED
- マルチディスプレイ
- 大型・湾曲LEDビジョン
- 店舗空間と一体化したデジタルサイネージ


