デジタルサイネージプレイヤーやSTB(セットトップボックス)、Androidタブレット、IoT機器の仕様書を見ていると「Allwinner(オールウィナー)」という名称を目にすることがあります。
一般消費者にはあまり知られていないメーカーですが、実は世界中のAndroid端末やTV Box、デジタルサイネージプレイヤー、スマート家電などに広く採用されているSoC(System on Chip)メーカーです。
特に近年は
- デジタルサイネージ
- Android STB
- IoT端末
- HMI(ヒューマンマシンインターフェース)
- スマートホーム機器
などの分野で存在感を高めています。
同じ中国系SoCメーカーとして知られるRockchip(ロックチップ)と比較されることも多く、サイネージ業界では両社のチップを採用したプレイヤーが数多く流通しています。
この記事では
- Allwinnerとはどのような会社なのか
- どのような製品に採用されているのか
- H618・H616・T507とは何か
- Rockchip・MediaTek・Amlogicとの違い
- デジタルサイネージで採用される理由
まで詳しく解説します。
- Allwinner(全志科技)は2007年設立の中国系ファブレス半導体メーカー
- Androidタブレット市場で急成長した実績を持つ
- 動画再生性能と低コストが最大の強み
- TV Boxやデジタルサイネージで世界中に採用実績がある
- H616・H618・T507がサイネージ市場で人気
- Rockchipは高性能路線、Allwinnerはコスト重視路線
- 動画配信中心のサイネージ用途との相性が非常に良い
Allwinner(オールウィナー)とは?
Allwinner Technology(全志科技)は中国広東省珠海市に本社を置くファブレス半導体メーカーです。
ファブレスとは自社工場を持たずに半導体の設計・開発に特化する企業形態を指します。
Apple、Qualcomm、MediaTek、Rockchipなども同じビジネスモデルを採用しています。
AllwinnerはARMアーキテクチャをベースとしたSoCの開発を主力事業としており
- Android端末
- タブレット
- TV Box
- デジタルサイネージ
- スマート家電
- ネットワークカメラ
向けのチップを開発しています。
現在では中国を代表するSoCメーカーの一社として知られています。
Allwinnerの歴史
2007年:中国・珠海で設立
Allwinner Technologyは2007年に設立されました。
創業当初からARMベースの組み込みプロセッサ開発に注力しており、特に映像再生性能を強みとするSoCを開発していました。
2011年:A10で世界的にブレイク
Allwinnerの知名度を世界的に高めたのがA10です。
当時のAndroidタブレット市場では
- Apple iPad
- Samsung Galaxy Tab
が高価格帯市場を形成していました。
一方で低価格Androidタブレット市場ではA10を搭載した製品が爆発的に普及しました。
「中華タブレット」と呼ばれた多くの端末で採用されたことでAllwinnerは世界有数のSoC出荷メーカーへと成長しました。
タブレット市場からIoT市場へ
2010年代後半になるとタブレット市場は成熟します。
Allwinnerはその後
- TV Box
- スマートホーム
- デジタルサイネージ
- ドライブレコーダー
- AIカメラ
などの組み込み市場へ事業を拡大しました。
現在では産業用途向けSoCの比率も高まっています。
AllwinnerのSoCはどんな製品に使われている?
Androidタブレット
最も有名な採用例です。
教育向けタブレットや低価格Androidタブレットで広く利用されています。
Android TV Box
現在でもAllwinnerの主力市場です。
代表的な搭載チップは
- H616
- H618
などです。
家庭向けメディアプレイヤーとして世界中で利用されています。
デジタルサイネージプレイヤー
近年急速に増えているのがサイネージ用途です。
主な設置場所は
- 小売店
- 飲食店
- 工場
- オフィス
- 病院
- 学校
など様々な場所で設置されています。
動画再生性能と低価格が評価されています。
ドライブレコーダー
映像処理性能を活かし
- 車載カメラ
- ドライブレコーダー
にも採用されています。
ネットワークカメラ
Vシリーズは
- 顔認識
- 映像解析
などにも対応しています。
スマート家電
近年では
- スマートディスプレイ
- インターホン
- 家庭用IoT機器
などにも搭載されています。
Allwinnerの代表的なSoCシリーズ
Aシリーズ
主な用途
- Androidタブレット
- 学習端末
代表モデル
- A10
- A20
- A33
- A64
- A133
Androidタブレット市場を支えた歴史的シリーズです。
Hシリーズ
主な用途
- TV Box
- サイネージ
- メディアプレイヤー
代表モデル
- H3
- H5
- H6
- H616
- H618
動画再生に特化した人気シリーズです。
Tシリーズ
主な用途
- 産業機器
- HMI
- サイネージ
代表モデル
- T113
- T507
業務用途での採用が増えています。
Vシリーズ
主な用途
- AIカメラ
- 監視システム
代表モデル
- V3
- V5
- V853
映像解析向けシリーズです。

Allwinner製SoCの強み
圧倒的なコストパフォーマンス
Allwinner最大の強みです。
必要十分な性能に絞り込むことで価格を抑えています。
大量導入が必要なサイネージ案件では大きなメリットになります。
動画再生性能が高い
Allwinnerは映像処理技術に強みがあります。
ハードウェアデコード機能を搭載しているため
- H.264
- H.265
- 4K動画
などを低負荷で再生できます。
低消費電力
24時間稼働が求められるサイネージでは重要な要素です。
ファンレス設計との相性も良好です。
Linuxとの親和性
組み込み開発者向けに
- Linux
- Debian
- Ubuntu
などの環境でも利用されています。
オープンソースコミュニティによるサポートも比較的充実しています。
Allwinner H618とは?現在最も普及しているTV Box向けSoC
H618はAllwinnerのHシリーズに属するクアッドコアSoCで、近年のAndroid TV Boxやサイネージプレイヤーで非常に多く採用されています。
特に「低価格で4K動画再生を実現したい」というニーズに適しており、エントリークラスのデジタルサイネージ市場では定番ともいえる存在です。
H618の主なスペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| CPU | Cortex-A53 4コア |
| GPU | Mali-G31 MP2 |
| 動画再生 | 最大4K H.265 |
| メモリ | DDR3 / DDR4対応 |
| 主な用途 | TV Box、サイネージ、教育端末 |
H618が採用される理由
H618の最大の魅力は価格と性能のバランスです。
高性能SoCではありませんが
- 4K動画再生
- 静止画表示
- HTMLベースのコンテンツ表示
- クラウドCMS連携
といった一般的なサイネージ用途であれば十分な性能を持っています。
特に飲食店のメニュー表示や店舗POPでは非常に相性が良いSoCです。
H618が向いている用途
- 店舗サイネージ
- 飲食店メニューボード
- 受付案内
- 展示会ブース
- 教育施設の情報表示
Allwinner H616とは?H618のベースとなった人気SoC
H616は、H618の前世代モデルにあたるSoCです。
現在でも数多くのTV Boxやサイネージプレイヤーで採用されています。
H616の特徴
- Cortex-A53 4コア
- H.265対応
- 4K動画再生対応
- 低消費電力設計
H616は派手なスペックこそありませんが、長時間の動画再生を安定して行うことに優れています。
サイネージ用途では十分な性能を持つため現在も現役で利用されています。
H616とH618の違い
両者のアーキテクチャは非常によく似ています。
主な違いは
- GPU性能の向上
- Androidバージョン対応
- 周辺機能の最適化
です。
新規導入であればH618搭載機が推奨されますが、動画配信用途であればH616でも十分実用的です。
Allwinner T507とは?業務用サイネージで人気のSoC
T507はAllwinnerの中でも特に産業用途を意識して設計されたSoCです。
一般消費者向けTV Boxよりも
- 業務用サイネージ
- HMI端末
- 制御システム
などで採用されています。
T507の主なスペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| CPU | Cortex-A53 4コア |
| GPU | Mali-T720 |
| 動画再生 | 4K対応 |
| 用途 | 産業機器・サイネージ |
T507がサイネージで人気の理由
サイネージ運用で重要なのは
- ベンチマーク性能
- ゲーム性能
ではありません。
重要なのは
- 安定性
- 放熱性
- 長期供給
- 24時間連続稼働
です。
T507はこれらのバランスが良く、多くの業務用プレイヤーに採用されています。
T507が向いている用途
- 工場内掲示板
- 病院案内表示
- 公共施設案内
- オフィスサイネージ
- 商業施設サイネージ
AllwinnerとRockchipの違い
サイネージ業界で最も比較されるのがRockchipです。
両社とも中国を代表するSoCメーカーですが、得意分野は異なります。
| 比較項目 | Allwinner | Rockchip |
|---|---|---|
| コスト | ◎ | ○ |
| 動画再生 | ◎ | ◎ |
| CPU性能 | ○ | ◎ |
| GPU性能 | △ | ◎ |
| AI処理 | △ | ◎ |
| マルチディスプレイ | △ | ◎ |
| サイネージ | ◎ | ◎ |
Allwinnerが向いているケース
- 動画ループ再生
- 店舗POP
- メニューサイネージ
- 工場掲示板
Rockchipが向いているケース
- タッチサイネージ
- AI連携
- インタラクティブコンテンツ
- 4Kマルチディスプレイ
特にRK3568やRK3588は近年の高機能サイネージで広く利用されています。
AllwinnerとMediaTekの違い
MediaTekは台湾を代表する半導体メーカーで、スマートフォン向けSoC市場では世界トップクラスのシェアを持っています。
MediaTekの強み
- 高性能CPU
- 優れた省電力性能
- 通信機能との統合
- Android最適化
スマートフォンや高性能タブレット向けではMediaTekが優位です。
Allwinner的強み
一方でAllwinnerは
- コスト重視
- 組み込み用途
- 動画再生
に強みがあります。
サイネージ用途ではMediaTekよりもAllwinnerを採用するケースが多く見られます。
AllwinnerとAmlogicの違い
Amlogicは映像機器向けSoCで有名なメーカーです。
テレビやAndroid TV Box市場では非常に高いシェアを持っています。
Amlogicの特徴
代表チップ
- S905X4
- S905Y4
- S922X
主な特徴
- Android TVとの親和性が高い
- 映像再生性能が高い
- Dolby Vision対応製品が多い
Allwinnerとの違い
| 項目 | Allwinner | Amlogic |
|---|---|---|
| コスト | ◎ | ○ |
| TV Box | ◎ | ◎ |
| Android TV | ○ | ◎ |
| 業務用途 | ◎ | ○ |
| サイネージ | ◎ | ○ |
家庭向けエンターテインメントならAmlogic、業務用サイネージならAllwinnerが選ばれる傾向があります。
デジタルサイネージ導入時のSoC選びのポイント
サイネージ導入では「CPU性能が高いか」だけで判断してはいけません。
以下の観点が重要です。
配信コンテンツ
- 静止画中心
- 動画中心
- Webコンテンツ中心
- タッチ操作あり
稼働時間
- 8時間運用
- 12時間運用
- 24時間運用
将来的な拡張性
- AI連携
- センサー連携
- マルチディスプレイ
これらによって最適なSoCは変わります。

PANELIZEが考えるSoC選定のポイント
PANELIZEではSoC単体の性能だけではなく
- 放熱設計
- ストレージ品質
- メモリ品質
- Androidバージョン
- 長期供給
- 保守体制
まで含めて評価しています。
同じH618搭載機でも製品によって安定性は大きく異なります。そのため「どのSoCか」だけでなく「どのメーカーが製造したプレイヤーか」も重要です。
まとめ
Allwinnerは、コストパフォーマンスと動画再生性能に優れた中国の大手SoCメーカーです。
- H616
- H618
- T507
これらはデジタルサイネージ市場で広く採用されています。動画や画像中心のサイネージであれば、非常に有力な選択肢です。
一方で
- AI処理
- 高負荷アプリ
- 複数画面制御
これらが必要な場合はRockchipも有力候補となります。サイネージ導入ではSoCのスペックだけでなく、プレイヤー全体の品質や保守体制まで含めて選定することが重要です。
よくある質問(FAQ)
-
Q1. Allwinnerはどこの国の会社ですか?
中国広東省珠海市に本社を置く半導体メーカーです。 -
Q2. Allwinnerは何の製品に使われていますか?
タブレット、TV Box、サイネージ、IoT機器などに利用されています。 -
Q3. Allwinner H618は4Kに対応していますか?
対応しています。 -
Q4. H618はサイネージに向いていますか?
動画配信中心の用途に適しています。 -
Q5. H616とH618の違いは何ですか?
H618はH616の改良版で、GPU性能や周辺機能が強化されています。 -
Q6. T507とは何ですか?
産業用途向けのAllwinner製SoCです。 -
Q7. T507は業務用途に向いていますか?
24時間稼働が求められるサイネージ用途に適しています。 -
Q8. AllwinnerとRockchipはどちらがおすすめですか?
動画中心ならAllwinner、高機能用途ならRockchipがおすすめです。 -
Q9. RK3568とH618はどちらが高性能ですか?
総合性能ではRK3568が上です。 -
Q10. RK3588はサイネージに必要ですか?
高度なインタラクティブ用途でなければオーバースペックな場合もあります。 -
Q11. AllwinnerはLinuxに対応していますか?
対応しています。 -
Q12. Allwinnerは24時間運用できますか?
適切な放熱設計があれば可能です。 -
Q13. Allwinner搭載機は安定していますか?
製品設計によりますが、業務向け製品であれば十分な実績があります。 -
Q14. Androidサイネージに向いていますか?
非常に相性が良いSoCです。 -
Q15. PANELIZEではSoC選定も相談できますか?
はい。設置環境や用途に合わせて最適な構成をご提案しています。



